千葉研究室|東北大学未来科学技術共同研究センター

研究業績

産学官連携によるコバルト合金の実用化

千葉研究室では、生体用Co–Cr–Mo合金の金属材料学的な基礎研究をこれまで10年以上の期間にわたって実施してきています。また、今まで我が国における研究プロジェクトを通し、産学官連携でCo–Cr–Mo合金の実用化研究も推進してきました。これらの研究成果を基に、株式会社エイワがCo–Cr–Mo合金製造を事業化し、2012年4月に国産のJIS規格材として初めて大手医療機器メーカーに納入されました。

Co–Cr–Mo合金は耐摩耗性・耐食性に優れるため、人工股関節・膝関節、歯科補綴用材料として使用されています。しかしながら、従来のCo–Cr–Mo合金は疲労強度特性に問題があり、さらに添加元素、あるいは不純物として含まれるNiに起因した金属アレルギーの発症が懸念されていました。千葉研究室では熱間加工を利用した結晶粒微細化やNiフリー化/無害化について基礎的研究を行い、力学特性に優れ、人体に安全なCo–Cr–Mo合金の製造に必要な材料技術を確立し、Co–Cr–Mo合金の実用化に成功しました。なお、開発された高付加価値Co合金は(公財)いわて産業振興センターにより「COBARION(コバリオン)」として商標登録されています。

COBARION®の材料特性

COBARIONは熱間鍛造による結晶粒微細化と合金組成の最適化により高強度と高延性を両立し、世界最高レベルの優れた疲労特性を有するCo–Cr–Mo合金です。

(株)エイワ COBARION®紹介ページ
http://www.eiwa-heartmake.com/cocrmo/

その他の実用化事例

千葉研究室では人工関節等の整形外科用途以外にも、歯科補綴物用材料や手術用器具への応用を目指したCo–Cr合金の開発を行っています。また、医療分野ばかりではなく、本合金が耐食性・耐摩耗性に優れ、高弾性率を有する点に着目し、金型材料や耐熱バネなどの一般産業分野における応用や、Coを添加元素としたNi基、Fe基合金の実用化研究も行っています。